「ぬくたなべ」ができるまでのお話

本当においしいお米が炊ける土鍋をつくりたい。そんな想いから開発が始まりました。ここ東濃地方は日本有数の美濃焼の産地。古来から良質の土と革新的な技術開発をもとに優れた製品を作り上げてきた実績があります。しかし米の旨味とは何か。その旨味と、土鍋の関係には何が隠されているのか。従来の土鍋よりさらに勝った土鍋とは、土の配合、特性を最大限に生かす形状、使い勝手の良さ加えて土鍋調理器としての可能性、様々な課題に取り組みました。

丸志げ陶器 温たなべ 美濃焼
スッポン鍋料理(サンプル画像)
丸志げ陶器 温たなべ 美濃焼
土鍋の底は釉薬が掛かっていない。
丸志げ陶器 温たなべ 美濃焼
温たなべは全体に釉薬が掛かっている
丸志げ陶器 温たなべ 美濃焼
ローストビーフもできちゃう!

「ぬくたなべ」の素地は土鍋の中でも最も耐熱性を要求されるすっぽん鍋の調理法に着目して研究開発が始まりました。京都ではすっぽんの調理にはコークスが用いられます。コークスは1600℃~2000℃近くの高温になり、金属なら溶けてしまいます。それほどの高熱に耐え、熱を保つことによりすっぽん独特の匂いが消え、澄んだ美味しいスープになります。つまり、耐熱性と蓄熱性が高い調理器ほど素材の味に影響するということがわかりました。

 

もちろん家庭ではそんな調理方法はしません。それでもじわじわとあたたまり、いったん温まったら温度を保ち続ける。その特性を生かすために土鍋土に、耐熱性を上げるペタライト、またムライトなどを調合し他にどんな割合で何をプラスするのかを研究しました。また土鍋に多く見られる底の素焼き部分をなくし、全体に釉薬を施すことで、土鍋全体の蓄熱性を上げました。6年の開発期間を経て、長時間の高温調理に耐え、温度差による割れを克服し、従来のご飯炊き土鍋以上に料理の幅を広げることができる土鍋の素地が完成しました。

温たなべはこんな試験を行いました。


水の腐食度を表した「ORP(酸化還元電位)」と呼ばれる、酸化による腐食からの蘇生力を示します。表1に示すとおり、温たなべに一日置いた水のORPの数値が下がっています。 これは、ビーカーに入れた水は一日で酸化が進むのに対し、土の作用で水の酸化を防いだ事を示しています。

水道水には消毒の為の塩素が含まれています。温たなべに入れた水は、時間がたつと塩素濃度が低下しています。表2にてその数値を示しています。

厚みがあり空焚きすることにより遠赤外線効果も大きくなります。表3でその数値を示しています。温たなべは食材の芯までじっくり効果的な熱伝導や対流により食材の旨味を最大限に引き出すと考えられます。


美濃で150年の歴史 いざ!工房へ

丸志げ陶器 温たなべ 美濃焼

窯元の風景です。

丸志げ陶器 温たなべ 美濃焼

土練器(土を練る機械)が三台並んでいます。

ここで土は柔らかく練られて成形がしやすくなります。

丸志げ陶器 温たなべ 美濃焼

土鍋の厚みは料理の出来を左右します。

もっとも適した厚さまで削りこんでいきます。

 

成形されたら何日かかけて十分に自然乾燥されます。

その後、素焼き窯で焼かれ釉薬をかけたり

絵付けをしたりできるようになります。

釉薬が掛けられて、絵が付けられたら

いよいよ1200℃で本焼きされます。

丸一日焼成され、丸一日かけて

ゆっくり冷まされて窯出しとなります。

丸志げ陶器 多治見 美濃焼
丸志げ陶器 多治見 美濃焼
なべ底に小さな粘土を置き浮かせて焼きます。
丸志げ陶器 多治見 美濃焼
熱で取っ手が垂れさがらないように支えます。
丸志げ陶器 多治見 美濃焼
窯出しはやっぱり緊張します。

手料理で感動しよう!!